“1枚のFAX” その内容は「KG(関西学院)に挑む心得」というものでした。
自分たちよりも優れていると思われる相手に対して、立ち向かうための準備の方法が書いて
ありました。送り主は
Tatsuya Tokai 東海辰弥さんでした。
まさか東海さんからメッセージをいただけるなんて思ってもいませんでしたから、それを読む
ときは、妙にドキドキしていました。
京都大学に入学し、アメリカンフットボールを始めた東海さんにとって、関西学院大学は当時
最強のチームで、倒したくてたまらない存在でした。どうやって関学を倒すのか、常に頭の中で
考える日々だったそうです。
関学を倒して、京都大学で日本一を2度経験された東海さんは、関学高等部に挑む我ら箕面
高校に当時のご自身を照らし合わせ、アドバイスを下さったのです。
「QB(クォーターバック)に必要なこと」というテーマのメッセージもいただきました。
その中の『繊細かつ大胆、理論的かつ感性を大事にする』というフレーズは強く心に響きまた。
僕自身、QBとしてその考え方を今日まで常に持っています。悩んだときにはいつもその言葉を
思い出してきました。
いただいたFAXは額の中に入れて、実家の部屋に今も飾ってあります。
つい先日、実に10年の時を経て東海さんと
初めてお目にかかりました。
現在はフットボール界を退かれていますが、
シルバースターの大先輩QBですから、いつか
お会い出来ないかなと思っていました。
お話していると、とてつもない精神の強さや
大胆さを感じ、「怪物くん」と称されたその所以
が理解できました。
いわゆる「空気」というものを持ってらっしゃい
ました。何かを変えそうな、周りを動かしそうな
強い力を持った空気です。
箕面高校にFAX が届いてから2日後の11月23日、いよいよ関西学院高等部との対戦の日
が来ました。箕面から大応援団がスタンドに陣取り、名門に対し申し分ない環境で戦いました。
開始直後に先制点を取り、その後もチームメイトみんなで力一杯のフットボールをしました。
しかし、徐々に試合巧者の相手が流れを持っていき、遂に後半に逆転を許しました。
これまで、数え切れないほどの試合を経験してきましたが、「もう一度やり直したい試合」を
挙げると、一番にこの1995年11月23日が浮かんできます。僕の判断をひとつ変えていれば
勝っていた。。。 あの瞬間に戻りたいです。
いつになっても忘れない日です。