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   『通路側のE席』 ②

  そこで私はもう一度、スーツのポケットに入った乗車券を確認する。
 乗車券には 「13号車 10番 E席」とある。DとE、二つ並んだ席の窓側がE席である。

  何度か見直したが間違いなかった。「10番 E席」には、既に東京駅から乗ったであろう男性
 が、どっかりと座っている。ポッコリ膨らんだお腹、左右に広げた両足。席の間の肘掛けには、
 わき腹の肉がはみ出してのっかり、私の肘の行き場など微塵もない。
  とりあえずバッグを足元に置き、通路側のD席に座ってみる。シートにもたれるためには、私
 の身体は左に30度ほど傾くことになる。
  真っ直ぐな姿勢で寝て、目が覚めたときに後頭部が絶壁状態になっているのも脅威だが、 
 上体を傾けたままで新大阪までの2時間28分を過ごすことはこの上ない忍苦だ。
  
  「アナタ、ドコマデ行く?」 男性が口を開いた。定かではないが、たぶんアジア人だ。
 「新大阪までです。」 「シンオオサカ、同じネ。ワタシ、クウコウまで行きマス。」
  少し聞くと、母国から子供が会いに来るので関西国際空港まで迎えに行くという。 子供とは
 久しぶりに会うのかと問うと、「ソウネ、ダイタイ、シモハンキぶりネ。」 おそらく、言葉の意味を
 微妙に間違って覚えたのだろうが、会うのは半年ぶりなのだろう。
  「国はどこですか?」と訊ねると、「アァ、ネパール。チョモランマ、エベレストのコトネ。高さは
 8848メートルデス。」 このセリフはいつもワンセットなのだろう。余談だが、エベレストはネパ
 ール名でサガルマーターというらしい。
  やがて男性の携帯電話が音を立てて鳴る。何語を喋っているのかさえ全く分からなかった 
 が、話の節々に「ナゴヤ」や「オオサカ」という単語が聞き取れた。3列ほど前の席に座ってい
 るビジネスマン風の乗客は、乗車券を確認して回る乗務員に「お席での通話は・・・。」と注意を
 受けていたが、隣の男は何も言われることなく、話を続けていた。
  この男を通路側に移動させたとしても、状況が何も変わらないことは明白だったので、私は
 そのままD席に座ることにした。新大阪駅までは、まだまだ2時間15分以上ある。
   
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by h_arima3 | 2007-01-24 19:48 | Football総合
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