そんなシーガルズに入らせてもらったことで出会えた一人の友が、結婚式を挙げました。
しばらく会っていなかったので、お初にお目にかかる奥さん共々、本人に会えるのを楽しみに
会場の福岡までピューっと馳せ参じました。
彼は藤原幹也といい、
僕のひとつ年下の天然
パーマ君です。 高校・
大学と大阪学院でWR
(ワイドレシーバー/
攻撃チームで、走って
パスを捕る役目)として
活躍し、就職で東京に
やってきてからは三井
物産シーガルズに入部
していました。(現在は
鹿児島市へ転勤になっ
ています)
僕がシーガルズに入る
前、「ええレシーバーが
おんねん、藤原っていう
ねんけど…」と聞いてい
たので、どんなヤツなんやろうと思って楽しみにしていました。
初めての練習でパスを投げさせてもらったとき、確かにスゴイということが瞬時にして分かり
ました。ただスゴイというか「めちゃめちゃええですやん!」というレベルのWRでした。
自分自身の能力がスーパーじゃない僕は、高校・大学といつもチームメイトに恵まれ、助け
られて勝つことができました。そういう意味では本当にラッキーマンだと思います。優れたWR
にも数多く出会うことができましたが、そのなかでも、この藤原幹也というWRとの出会いには
鮮烈な衝撃がありました。
彼とのコンビネーションを合せるのには、ほとんど時間を
要しませんでした。こちらが描いたとおりの場所へサササッ
と走り込んでくれる俊敏さ。上背があり、ボールに対しての
相手との競り合いに強い。 パスを投げる側に安心感を与え
てくれるような力の持ち主でした。「あいつに投げれば何とか
してくれるだろう」と。
2002年のリーグ戦、僕は4試合で927ヤードのパスを記
録することができましたが、その大半は彼へのパスでした。
ピンチの時や、ここぞという勝負どころで確実にボールを捕り、
ビッグプレイを生み出せる。投げた瞬間に「失敗したかな…。」
と思うようなパスでも、ススっと動いてキャッチしてくれる。
本当にパスを投げやすい選手でした。
<右写真:結婚式前夜、新郎との一枚>
そんなプレーを重ねるたびに、僕は完全に「パスが通ることの嬉しさ」を思い出しました。
これは高校のとき以来の感覚でした。大学では「日本一になること」に対し、チーム全体が
確固たるこだわりを持ち続けていたため、パスが通った時にはホッとする感覚のほうが先に
きていました(もちろん嬉しい気持ちもありましたよ)。高校のときは、ただ純粋に 「どこまで
強くなれるだろう」という気持ちでフットボールをしていたので、1本1本のパスが通るたびに
喜びを感じながらプレーをしていました。シーガルズという場所で彼と共にプレーできたこと
で、原点にある「フットボールの楽しさ」を再び味わうことができました。
これには心底から感謝をしています。
翌年のジャパンエックスボウル(
X リーグの日本一決定戦)を
東京ドームの客席で一緒に見たとき、「こんないっぱいお客さんが
入る舞台でプレーしたいですわ。」彼は言っていました。大学時代
は2部リーグ、そして社会人では
X 3のチームでプレーする彼は、
「トップのリーグで活躍をしたい」という願望を持っていたのです。
藤原の実力ならば、すぐにでも上のリーグで活躍するチャンスが
あるだろう。そう思っていたのは僕だけではなかったはずです。
周囲からは「藤原に唯一足りないのは、自分を上手いと思う気持ち」
だとも言われていました。いわゆる自信というものでしょうか。
<左写真:ケーキ入刀。ケーキ、でかっっ!>
結局、東京ドームの客席で聞いた彼の言葉に最も影響を受けてたのは、僕のほうだったのかもし
れません。その2ヵ月後に僕はTBSに退職届を出し、「X リーグ」で日本一を目指してフットボールに
取り組むという決意をしていました。2004年3月、僕はアサヒビール シルバースターのトライアウト
(入団テスト)を受ける準備をしながら、藤原に話していました。
「一緒に行かへん?」
藤原ならば、ALL JAPANのレベルまで必ず上がれると本気で思っていました。
<福岡に集まったシーガルズの仲間達と>
それから3年が経った現在でも、彼のプレーレベルの高さに確信をもっていた気持ちに揺らぎは
ありません。やはり藤原はスゴイWRであると。JAPAN級のWRだと。
X 3のシーガルズにそんな選手がいて、
そこに僕がタイミングよく舞い込んだのは、
実に幸運なことだったと思います。
プレーに迷いが出たとき、僕はいまでも
『第一のシーガルズ』で味わうことのできた
「原点の楽しさ・嬉しさ」を思い出しています。
失敗を恐れずに、仲間を信じ、レシーバー
を信じてプレーする勇気をもらえる気がする
からです。
最後にあらためて、結婚おめでとう。
幸せな家庭を築いてください。
父の故郷でもある鹿児島へ、今度遊びに
行きます。その時はヨロシクです。